虫歯は遺伝性疾患なのでしょうか。
答えは、いろいろな意味で遺伝性疾患です。
まず、親から子供へ食事やお口のケアに関する習慣が伝わり、歯やお口の健康管理に対する考え方なども子供達は知らず知らずのうちに学んでいると思います。
さらに、親が同じスプーンや箸で子供に食事を与えることで親の保有する虫歯菌が伝播する事からもそう言えます。
ただこれは生活習慣の事です。今回は虫歯への感受性が遺伝子的に直接どのように遺伝するかについてお話ししたいと思います。
近年の虫歯研究により、虫歯への感受性、すなわち虫歯リスクは実際に遺伝子によってもコントロールされていることがわかってきました。
昔、行われたある研究で、数年間に渡って甘い物を食べ続けても虫歯を発症しなかった人がいる一方で、糖類の摂取を止めても虫歯を発症し続けた人もいました。
すなわち、遺伝的要因でほとんど虫歯の感受性がない人達がいる一方で、その逆の人達もいます。それは同じく遺伝的要因で、虫歯に罹患しやすいということです。
では、実際にお口の中でどのような事が起こっているのでしょうか。
ここからは少し掘り下げた話しになりますね(*_*;
遺伝子は歯面に蓄積するバイオフィルム、つまり歯垢の組成をコントロールすることから虫歯の罹患のしやすさに影響を及ぼしています。
バイオフィルムは歯面から約10ミクロンの厚さのところでは、主に唾液タンパク質、いわゆるプロリンに富むタンパク質であるPRPタンパク質で構成されています。例えば、PRPタンパク質は歯面に定着する虫歯の誘発性または非誘発性の微生物のどちらが優勢になるかどうかに影響しています。
すなわち、虫歯遺伝子は、虫歯細菌に容易に付着する唾液タンパク質をコードしているという事です。しかし、虫歯をほとんど持っていない人達には、異形タンパク質をコードする遺伝子があることから、善玉細菌が付着するのです。
この様に、遺伝的要因で虫歯になりやすいとしても決してあきらめないで下さいね。
どうしても虫歯リスクは高いとしても、上手にコントロールする事によって虫歯は予防ができる疾患です。
他の人達よりも食事回数や食事の内容にも気をつけたり、定期的に専門家によるメンテナンスを受けることや、セルフケアに気をつけることでリスクを軽減する事は可能です。
毎日の生活習慣なので、確かに大変ではあると思います。
ただ、一人でやるのでは決してありません。歯科医師・歯科衛生士がしっかりとサポートさせていただきますので、共に頑張りましょう!(^^)!